しかし、確立した専門性を足場にしてすら今後どう生きていけばよいのかさえ不分明になりつつあるいま、「どう考え生きているのか」について書こうとすると、そうした方法はとれない。そもそも自分が今後どうしたらいいのか、書きはじめる時点ではまったくわからないからである。だから、ソフトウェアエンジニアとしての習性がついつい駆動してしまう私の思考をひとつひとつ書きだしていく中で、自分が実際のところなにを思っているのかに気づいていく。手探りのようすそのものを、こうして書くことによって提示している。自分自身によって書かれている文章が、他ならぬ書いているはずの自分を導いていく行き先に自身で当惑しつつも、その過程にこそ文章を書くことの快楽がある。